2011年08月04日

大宮八幡宮と鎌倉街道

大宮八幡宮と鎌倉街道
●東京のへそ,大宮八幡宮(東京都杉並区)

前回の記事から,ほぼ1ヶ月ぶりの更新になります。今回は,東京都内の鎌倉街道から大宮八幡宮(杉並区)について書きます。平安時代の七夕行事「乞巧奠(きっこうでん)」を再現しているとして,前回ご紹介した神社です。
 ここ大宮八幡宮は,西暦1063年に源頼義公が石清水八幡宮より分霊を勧請して建立したのが始まりです。社伝によれば,源頼義公が安倍氏と戦うため奥州へ向かう途上,古来,聖域とされていたこの地で白雲が空にたなびくのを見て神威を感じ,奥州での戦勝帰還後にこの地に社殿を建てて八幡大神の分霊を祀ったのだといいます。
実は,これは創建年代も創健者も勧請元も,鎌倉の鶴岡八幡宮とまったく同じなのです。源氏の歴史,ないし八幡宮について詳しい方なら,すでにお気づきにかもしれませんが。

西永福の駅で下車し慌しい東京の下町を歩くこと約10分。和田堀公園の静寂な森林に囲まれた一角に大宮八幡宮の境内があります。

朱色の立派な鳥居と鬱蒼とした深緑の参道(約300メートル)を経て本殿へと至ります。


大宮八幡宮と鎌倉街道
●雨上がりの大宮八幡宮の石畳参道

大宮八幡宮と鎌倉街道
●大宮八幡宮境内の木漏れ日

大宮八幡宮と鎌倉街道
●本殿前にて

大宮八幡宮と鎌倉街道
●ここは祭事に先立って,祓いの儀式を行う沙庭


境内は鎌倉の鶴岡八幡宮ほどではないですがそこそこの規模で,本殿を中心に授与所や神楽殿など一通り充実しています。また,神主さんをはじめ,巫女さん,神職さんが常駐しています。

大宮八幡宮と鎌倉街道
●前回も紹介した大宮八幡宮の乞巧奠にて。大神社に引けをとらず四季を通じて行事が多いのも大宮八幡宮の特徴


 何度か参拝していますが,有名な観光スポットというわけでもないので,七夕とか桜祭りとか祭礼のときであっても参拝者がどっと押し寄せるといった感じではありませんので,ゆっくりとくつろぎながら祭事の雰囲気を味わえる神社です。

大宮八幡宮と鎌倉街道
●鎌倉街道中道と交差するかつての参道。この向こうには大宮八幡宮の正面鳥居があります


鎌倉街道に位置すると先述しましたが,大宮八幡宮は,鎌倉から宇都宮を経て奥州へと至る「鎌倉街道中道」の途上にあたります。また,府中の大國魂神社(鎌倉街道上道の要衝)からも支道がここ大宮八幡宮あたりまで延びていたそうで,鎌倉街道の上道と中道を結んでいたようです。

それ故,11世紀には源頼義が,12世紀にはその子孫で鎌倉武家政権の祖,源頼朝が,それぞれ奥州親征の際に大宮八幡宮を経由して向かっています。


大宮八幡宮と鎌倉街道
●鎌倉街道と大宮八幡宮。また,大宮八幡宮には鎌倉街道上道の要衝,大國魂神社から支道が伸びていました(赤枠の拡大図)

そして,大宮八幡宮周辺の「鎌倉街道中道」が南北に貫いていたと推定されるあたりには,今も寺社や遺跡が集積しており,源氏の奥州遠征ゆかりの伝説が残る場所も少なくありません。

【東京都内の鎌倉街道中道の風景】

大宮八幡宮と鎌倉街道
●高円寺駅南口にある氷川神社。神社の創建は戦国時代ですが,奥州遠征へ向かう途上にこの地に源頼朝が立ち寄ったと伝えられています。

大宮八幡宮と鎌倉街道
●東京中野区の新井薬師もまた鎌倉街道中道に位置しています。写真は毎年7月恒例の盆踊りの提灯飾り。

大宮八幡宮と鎌倉街道
●塚山公園。縄文遺跡でもある下高井戸のこの公園のすぐそばを鎌倉街道中道が通ります



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Posted by まほろば旅日記編集部 at 21:07 │鎌倉街道中道