睦月の諏訪下社で,木遣り唄に出会う

まほろば旅日記編集部

2012年02月12日 03:00


●下諏訪の春宮にて,木遣り唄を奉納する地元の保存会(2012年1月22日)


やまの かみさま  おねがいだ


去る1月下旬,正月気分も抜けたある休日,1年ぶりに下諏訪へ足を伸ばしました。甲信越で雪が降り積もった翌日は青空が広がっていましたが,下諏訪の街も神社も雪化粧でした。
 特急あずさ号を降りたのが午前11時。上空からポタポタと,水滴が滴り落ちる街中を進んで,諏訪下社の春宮と秋宮へ参詣してまいりました。先週末に,春宮の筒粥神事も終わり,秋宮での新年祈請祭も済んだ下諏訪は観光客の往来などもあるものの,昨年の新年祈請祭を知る身にはいくぶん落ち着いた雰囲気でした。


●残雪の秋宮は厄除け祈願の最中


 下諏訪駅により近い,秋宮。冬季期間中は下諏訪の神様が鎮座するお宮であると云われており,ここ数日は参拝者を対象に厄除け祈願が行われているため,人の往来もしばしばでしたが,ここから徒歩10分程度離れた春宮は人影もまばらで物静かでした。
 
そんな静寂を破った,否,静かな社叢にパッと華を咲かせたのが,冒頭写真にある,木遣り唄保存会の方々。
 静かな境内にいると,赤い半被を羽織り,おんべを持った一行が春宮の鳥居を中へと進んでまいりました。一昨年行われた七年に一度の御柱祭の木遣りで活躍しましたが,本日は保存会の宣伝ビデオ作成のためのロケをするのだとのことでした。
 颯爽とした,おんべ行列に,甲高く響き渡る木遣り唄。促されるまま,始終見物した次第。境内いっぱいにこだまする木遣り唄に誘われてか,人影まばらだった春宮の境内も気がつけば,地元の人や観光客がたくさん集まっていました。これは何の行事?と驚きながらも,舞殿の注連縄をバックに,おんべを掲げ木遣り唄を合唱する姿を,皆,しきりに写メールしたり,デジカメに収めたりしていました。

「珍しいね」,「伝統芸能を間近に見られてラッキー」,「こんな機会そうそうないよね」・・・

あちこちから漏れ聞こえてきたワード,いずれも同感。

下諏訪の神様が只今不在のお宮に,一足早く,春一番が吹き抜けたような小1時間の出来事でした。

思いがけない幸運に感謝しつつ春宮を後にしたのは既に13時をまわる時刻。秋宮付近で信州そばの昼食をとって,下諏訪の鎌倉街道へと向かいました。

(つづく)




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